アイヌの人々は古くから、動植物や事象など、自然界のさまざまなものにカムイ(神)の存在を見い出し、敬虔(けいけん)な心をもって接してきました。「キムンカムイ(山の神)」=と呼ばれたヒグマもまた、先祖代々重んじられてきた野生動物の一種です。
知床はヒグマの密集生息地です。しかし人とクマの距離が崩れはじめ、その関係が危うくなっています。人間の生活の場とヒグマの生息地、お互いのテリトリーを守りながら、いかに共存ができるか。その道を探るために生まれたのが「クマ活」です。ご存知のように知床は平成17年7月に世界自然遺産に登録されました。登録に当たっては、流氷が育む豊かな海洋生態系と原始性の高い陸息生態系の相互関係に特徴があること、世界的な希少種やサケ科魚類、海棲哺乳類等の重要な生息地を有すること等が評価されました。
知床の自然環境を持続可能(サスティナブル)な形で将来の世代まで引き継ぐことが必要です。それによって知床を旅される皆さんにも末長くこの自然をお楽しみいただけることでしょう。そこで、2020年より、「北こぶしリゾート」と知床財団が手を組んで「クマ活」を行っています。ヒグマを知ってもらうためのレクチャーの開催、草刈りを行うなど、人の住む街にヒグマが近づかないよう間接的で地道な取り組みを続けています。
「知床を、つづけていく」。これが、知床に住む私たちの使命だからです。そのために今、さまざまな活動を計画し実行しています。